学級通信

吉里吉里国民増加中☆2012.09.28

 先日のブログでもお伝えしましたが、9月22日に開催したあかり学級「やってみよう編」、“木”をテーマにした岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里へのツアーは、盛岡市の広報で参加者募集をしていただいたこともあり、本当にたくさんの方々にご参加いただきました。

大学生から80代まで、いままでのあかり学級では一番幅広い年齢層だったかと思います。
最初は正直どんな雰囲気になるかなぁ、、、と思っていましたが、そんな不安も出発してすぐ吹き飛びました(^_^)/

同じバスに乗る、同じ映像を見る、同じ風景を見る、同じ山に入る、そんな時間を共有することで自然と会話も弾みました。山では比較的若い人が、大先輩たちの手を引く光景をそこここで見ることができ、幸せな気分になりました。 さながら人類みな家族。大家族旅行でした!

参加者の皆さんは、ボランティアや復興関係の仕事に従事されている方もいれば、今回が初めて被災地に行くので前日からドキドキして眠れなかったという方まで様々でした。

今回のツアーでお願いしたバス会社は城山観光さんという大槌のバス会社です。
ドライバーさんの話では所有していたバス13台は全て津波で失い、ドライバーの松橋さんも津波で流された経験をお持ちでした。行きの道中では、松橋さんが貸してくださった震災のDVDも見ました。目を覆いたくなるような映像...、1年半後の今、やっと見られるようになった気がしました。それでも何か心の中がピリピリとした緊張感が走りました。

そして、釜石まわりで大槌へ。
早速、今回の一番の目的である大槌町は吉里吉里国へ。

8月の“まなぼう編”でお話しくださった、芳賀さんと仲間達は今まで手付かずだった吉里吉里の山に入り間伐を行うことで、孫やその先の代まで美しい自然を取り戻し、継承していく活動を行っています。
大槌は海の町。以前のように漁が出来るように、その時より豊かな海であるように。そのために、森を整備して多くの植物や微生物を繁殖させ、森の再生ひいては海の再生を計るのです。

 午前中は、塩害にあった木を切り出している現場にいき、塩害にあった木を大事に育てられた老夫婦のお話や、林業についてのお話等を聞き、その作業風景を見学させてもらいました。



そして、すぐにお昼)^o^(
朝が早かったせいかお腹もすでにペコペコでした!

大槌町内にある、『おらが大槌復興食堂』へ。
地元の方がスタッフで、地元の大槌、三陸の食材にこだわって、みんなに美味しいものを食べてもらいたい!との思いでされています。スタッフのみなさんの気持ちのよい接客が印象的でした。

さてさて我々の本日のお目当ては・・・
「海鮮丼。」ボリューム満点で、とても美味しかったです。


最後に復興食堂スタッフのけいこさんよりお話をいただきました。
「皆さんにお願いが一つあります。皆さんの家族で、次に大きな地震があった時の為に避難場所の相談を必ずしておいてください!」
けいこさん自身のお父様は今も行方不明のままだそうです。そんなけいこさんの言葉だからこそ、とても心に残りました。
はい、そうしたいと思います。教えてくれてありがとうございました

午後の作業に向かう前にトイレ休憩した「福幸きらり商店街」は、この日お祭りだったこともあり、虎舞を踊る人やその観客でにぎわっていました。


さて、お腹も満たし、お祭りもみて、後は本来の目的「木」のある“吉里吉里国”へ再入国。
山道に沢山落ちている枯葉や枝などをひろい集めたり、切り出した木を運ぶお手伝いをしました。




また、山での作業の最後には、木をチェーンソーを使って倒す作業も見せてくれました!どんなに離れていてもこっちに倒れてくるんじゃないかと内心おびえた私でした。。。


吉里吉里国の事務所がある場所へ移動し、皆さんで切り出した塩害材で作った作業場や、ボランティアがお風呂に入れるようにと作られた薪風呂ボイラー等を紹介してくださいました。

最後に、芳賀さんはその前で私たちに話をしてくれました。
「震災後すぐ、吉里吉里のあたりではすぐに住民が立ち上がり道路の整備(がれき等の撤去)をはじめました。その中で、亡くなった人を見つけることもありました。避難所で過ごす夜、そのご遺体を思いだし寝れない夜が続きました。ある夜、眠れなかったので外のたき火を眺めながら、“無理に忘れる必要はない。亡くなった人たちの思いを受け継いで、震災前よりもっと良い吉里吉里にしよう”と思ってから眠れるようになった」そうです。

だからなのか芳賀さんの話しかたは、穏やかだけど、とっても真っ直ぐで、きっと芳賀さんは死ぬまで信念をまげないだろうな、と思えました。常に、亡くなった方々のことを想いつつ、でも次世代に資源をつなげていこうとする前向きな姿勢。
大きな山を越えた人にしかわからない、そんな境地なのではないかと思いました。


そして芳賀さんはこう続けました。
「皆さん、忙しいでしょうから何日も泊りがけで来る必要はないです。でも、半日でいいから立ち寄った時には“吉里吉里人”になってほしい。もし私が盛岡にいって皆さんと会ったらあかり学級の生徒になりますから(笑)。」
無理をしなくていいよ、でも忘れないでね。ってことなのかなぁ、と私自身は解釈しました。

本当に百聞は一見に如かず。
多くの参加者のみなさんとこの経験を分かち合えたことが何よりも良かったです。
今回のあかり学級、「木」を学ぶだけではない、おっきいお土産をもらった気がしました。  (m)